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「走り続ける」から失敗する。40代初心者は、あえて歩く「ウォーク&ラン」で運用を開始せよ

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導入文:私は「疲労」を「成果」と勘違いしていた

「ゆっくり走れば、長く走れるようになる」

ランニングの入門書やネット記事には、判で押したようにそう書かれています。いわゆる「ニコニコペース」というやつです。

40代でランニングを始めた私も、当然それを信じて走り出しました。

しかし、現実は違いました。最初の10分は確かに笑顔で走れます。しかし、15分を過ぎたあたりから心拍数が急上昇し、呼吸が荒くなり、足が鉛のように重くなる。

結局、20分(距離にして約3km)も走れば限界が来て、足が止まってしまうのです。

当時の私はこう思っていました。

「まあ、今日は20分ガッツリ頑張ったし、ヘトヘトになったからOKだろう」

ここに大きな落とし穴がありました。

私は、「疲労すること」で満足してしまっていたのです。

目的は「長く走れるようになること」はずなのに、いつの間にか「全力を出し切って疲れること」自体が目的になってしまっていた。

だから、何ヶ月続いても走れる距離が伸びない。タイムも縮まない。

なぜなら、私は**「トレーニングのフェーズ(段階)」を間違えていたから**です。

この記事では、過去の私と同じように「3kmの壁」にぶつかっている同世代に向けて、根性ではなく戦略で距離を伸ばす**「ウォーク&ラン」**という手法を提案します。

課題定義:その20分走、今のあなたには「早すぎる」

なぜ、20分で息が上がってしまう走り方ではダメなのでしょうか?

「短い時間でも、全力を出し切ったなら効果があるのでは?」と思いますよね。

結論から言うと、今のフェーズ(土台作り)においては、ほとんど効果がありません。

目的と手段のミスマッチ

ランニングのトレーニングには段階があります。

  1. フェーズ1(土台作り): 長く動き続けるための「持久力(毛細血管の拡張)」を作る。
  2. フェーズ2(スピード強化): 速く走るための「心肺機能・筋力」を作る。

20分でバテてしまうような高強度のランニングは、**「フェーズ2」**のトレーニングです。

もちろん、基礎ができている中級者が、さらなるタイム短縮のために20分の閾値走(きついラン)を行うのは非常に効率的です。

しかし、まだ基礎ができていない私たちがこれをやるとどうなるか?

「持久力」が身につく前に体力が尽きてしまい、いつまで経っても「長い距離」が走れるようになりません。

基礎工事(フェーズ1)が終わっていないのに、いきなり建物を建てようとしているようなもの。 これではいつまで経っても家は建ちません。

まずは、泥臭く「土台」を作ることに集中しましょう。そのためには、**「心拍数を上げずに、長時間動き続けるトレーニング」**が絶対条件なのです。

解決策:戦略的「ウォーク&ラン」の導入

では、体力のないおじさんが、心拍数を上げずに30分以上動き続けるにはどうすればいいか?

答えは簡単です。**「歩けばいい」**のです。

ここで提案したいのが、LSD(Long Slow Distance)という理論を初心者向けにアレンジした**「ウォーク&ラン」**という運用手法です。

「疲れたから歩く」ではない

多くの人は、限界まで走って「もうダメだ」となってから歩きます。これは「敗北」です。

そうではなく、**「心拍数を下げるために、計画的に歩きを入れる」**のです。

  • × 間違い: 20分走って限界 → 歩いて帰る(トータル20分の運動)
  • ◎ 正解: 3分走って1分歩く → これを10セット繰り返す(トータル40分の運動)

歩いている時間は休憩ではありません。

上がりかけたエンジンの熱(心拍数)を強制的に下げ、**有酸素運動の領域に留まり続けるための「冷却期間(クールダウンタイム)」**です。

こうすることで、今の体力でも「合計40分以上」動き続けることが可能になります。

ただ時間を潰しているわけではありません。**「長時間動き続けられる体を作るためのトレーニング」**を、低い負荷で実践しているのです。

ツール活用:Garminで「心拍数」を監視せよ

ここで、前回紹介した**Garmin(ガーミン)**が強力な武器になります。

自分の感覚(キツイ・楽)は当てになりません。初心者は「楽だ」と思っていても、実際にはオーバーペースなことが多いからです。

【重要】まずは「最大心拍数」を設定せよ(キャリブレーション)

走り出す前に、必ずやっておくべき「初期設定」があります。

Garminは「最大心拍数」を基準にゾーンを計算しますが、ここが間違っていると全てのデータが無意味になります。

デフォルトでは「220 - 年齢(45歳なら175)」という一般的な計算式が設定されていますが、これには個人差があります。

PM的に言えば、**「センサーのキャリブレーション(校正)」**が必要です。

  1. 「自動検出」をONにする:Garmin Connectアプリで [デバイス] → [ユーザー設定] → [心拍ゾーン] → [最大心拍数の自動検出] をONにします。これにより、日々のランニングデータからGarminがあなたの本当の最大心拍数を学習し、自動で補正してくれます。
  2. 「体感」で答え合わせをする:自動検出が機能するまでの間や、計算式が合わない場合は「体感」を信じてください。
    • 会話ができるレベルなのに、時計が「レッドゾーン」を示している → 設定値が低すぎます
    • ゼーハー苦しいのに、時計が「ブルーゾーン」を示している → 設定値が高すぎます。この場合は、手動で数値を微調整してください。データと体感のズレを埋めていく作業も、自分を知るプロセスの一つです。

難しい操作は不要!デフォルト画面で管理可能

設定が終われば、あとは走るだけです。

Garminのランニングモードの**「デフォルト画面(初期設定)」**には、管理に必要な4項目が最初から表示されています。

(ここにGarminのデフォルト走行画面の画像を挿入)

キャプション:初期設定の画面。一番下の「心拍数」を見るだけで管理できる。

  1. タイム: 走った時間
  2. 距離: 走った距離
  3. ペース: 1kmあたりの速さ
  4. 心拍数: 一番下に表示される体への負荷

特に注目すべきは、**一番下の「心拍数」です。 単なる数字だけでなく、「今どの強度(ゾーン)にいるか」**が、**カラーゲージ(グレー・青・緑・オレンジ・赤)**で視覚的に分かるようになっています。

心拍ゾーン(カラーゲージ)の意味とアクション

Garminの画面に表示される5つの色は、それぞれ「トレーニングの目的」が異なります。

以下は、「LSD(土台作り)」を行う際のアクション指針です。

色 (Zone)状態メリット・目的LSD時のアクション
グレー (Z1)ウォーミングアップ体を温める・回復させる◎ OK(開始直後はここ)
青 (Z2)脂肪燃焼 (LSD)持久力の土台作り・毛細血管の拡張★ ターゲット(維持せよ)
緑 (Z3)有酸素運動心肺機能の向上・スタミナ強化△ 注意(調子が良い時はここに行くが、長続きしない)
オレンジ (Z4)無酸素運動スピード強化・筋力アップ× ストップ(歩いて心拍を下げろ)
赤 (Z5)最大強度瞬発力・限界突破× 危険(即中止)

LSD(土台作り)のターゲットは**「青(Blue)」**です。

「オレンジ」や「赤」は悪いことではありませんが、スピード強化のゾーンであり、今の目的(長く動くこと)からは逸脱しています。

オレンジが見えたら、勇気を持って歩きを入れましょう。

【重要】「開始10分後」の罠に注意せよ

ここで一つ、初心者が必ずハマる罠について警告しておきます。

走り始めて5分〜10分くらいは、体が温まってきて(アップが完了して)、足が軽く感じ、ペースが上がりやすくなります。

「お、今日は調子がいいぞ!」

そう勘違いしてペースを上げると、危険です。

体が温まると血管が拡張し、心拍数が上がりやすい状態になっています。そこで調子に乗ってスピードを上げると、数分後に心拍数が一気に跳ね上がり、突然苦しくなります(オーバーヒート)。

だからこそ、**「調子がいい時ほど、Garminを見る」**癖をつけてください。

感覚では「行ける」と思っていても、画面の心拍数が「オレンジ」に入りかけていたら、勇気を持ってペースを抑えるか、歩きを入れましょう。

【上級テクニック】「心拍アラート」で管理を自動化する

画面を見るのすら面倒な人には、**「心拍アラート」**という機能がおすすめです。

これは、「心拍数が一定(例:140)を超えたらバイブレーションで震える」という設定ができる機能です。

  • メリット: 時計を一切見なくても、振動したら歩けばいい(完全なアイズフリー運用)。
  • 注意点: デフォルトではOFFのため、自分でランニング設定から「アラート」を追加する必要があります。

少々設定の手間(初期構築コスト)はかかりますが、一度設定してしまえば、**「オーバーヒートを自動検知して警告するシステム」**が手に入ります。

PM的な視点で言えば、ヒューマンエラー(見落とし)を防ぐ最強の安全装置と言えるでしょう。

【要件定義】ウォーク&ラン運用仕様書

明日からのトレーニングを成功させるための「目的」「アクション」「注意点」を一枚にまとめました。迷った時はここに立ち返ってください。

1. プロジェクト目的(Goal)

  • × 非推奨: 20分全力で走って、完全燃焼(疲労)すること。
  • ◎ 本来の目的: 心拍数を上げすぎずに、30分〜60分間体を動かし続ける「土台(基礎体力)」を作ること。

2. 実行内容(Action)

  • 基本動作: 「3分ラン + 1分ウォーク」のセットを繰り返す。
  • ツール活用: Garminの心拍数(一番下の項目)またはカラーゲージを常時監視する。
  • 判断基準:
    • ゲージが**「青(Blue)」**なら最高。LSD(基礎作り)成功中。
    • ゲージが「緑(Green)」なら要注意。ペース維持か少し落とす。
    • ゲージが「オレンジ(Orange)」に入りかけたら、まだ元気でも即座に「歩き」を入れて心拍を下げる。

3. 運用上の注意(Risk Management)

  • 「疲労=成果」ではない:ヘトヘトになるのは「トレーニング強度が間違っている(高すぎる)」証拠。終わった後に「まだ動けるな」と思うくらいが正解。
  • 「開始10分後」の罠に注意:体が温まると(アップ完了後)、ペースが上がりやすくなる。調子に乗ってスピードを上げると、直後に心拍数が急騰する(オーバーヒート)。調子が良い時ほど画面を見て、ペースを抑えること。
  • データと「体感」のバランス:「もっと速く走りたい(焦り)」はノイズですが、「もっと走れそうだ(余裕)」は成長の証です。基本はGarminの数値を信頼しつつ、自分の体の声にも耳を傾けてください。体ができてくれば、同じ心拍数でも長く・速く走れるようになります。「数値管理」と「自分の感覚」のバランスを大切にしましょう。

実践計画:最初の1ヶ月運用スケジュール

それでは、明日から実践できる具体的なスケジュールを提示します。

目標は「速くなること」ではなく、**「30分〜60分間、運動を継続できる土台を作ること」**です。

第1週:運動習慣の構築(システム稼働テスト)

  • 内容: 全てウォーキングでOK。
  • 時間: 30分
  • 目的: まずは「ジャージに着替えて外に出る」というフローを生活に定着させる。

第2週:ウォーク&ラン導入(低負荷運用)

  • 内容: 【1分ラン + 1分ウォーク】× 15セット
  • 時間: 合計30分
  • ポイント: 「もっと走れるのに」と思うくらいで止めるのが正解。

第3週:ラン比率の向上(負荷テスト)

  • 内容: 【3分ラン + 1分ウォーク】× 10セット
  • 時間: 合計40分
  • ポイント: このあたりから「以前よりも呼吸が楽だ」と気づき始めます。

第4週:連続稼働時間の延長

  • 内容: 【5分ラン + 1分ウォーク】× 8セット
  • 時間: 合計48分
  • 成果: 気づけば、以前は20分で倒れ込んでいた自分が、50分近く動き続けられています。これが「土台」ができた証拠です。

まとめ:歩くことは「賢い選択」である

「走りに来たのに歩くなんて、かっこ悪い」

そんなプライドは捨てましょう。

今は基礎を作るフェーズです。ここで焦って20分の全力走を繰り返しても、怪我のリスクが高まるだけです。

しっかりと土台さえできれば、その先には**「20分の閾値走」や「インターバル走」といった高強度のトレーニングを、効果的にこなせる未来**が待っています。

その時のために、今はあえて歩く。

この「急がば回れ」の精神こそが、私たち40代がサブ5を達成するための最短ルートなのです。

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