
はじめに:手持ちの靴で走って、たった10分で後悔した話
「走ろう」と思い立ったその日、私は下駄箱の奥にあった、3年前に買った街歩き用のスニーカーで家を飛び出した。
しかし、現実は甘くなかった。 走り始めてたった10分。膝、ふくらはぎと、内転筋に、鈍い痛みが走り始めた。 翌朝には、駅の階段を降りるのが辛いほどの筋肉痛(というか関節痛)に見舞われた。
これは運動不足のせいだけではない。明らかに「靴選びの失敗」だ。 アスファルトの硬さが、ダイレクトに膝に響いていたのだから。
「このままでは、三日坊主どころか、怪我をして終わる」
そう確信した私は、ネットで徹底的にリサーチを行い、ある一足のシューズにたどり着いた。 スイス生まれのブランド、On(オン)の「Cloudmonster(クラウドモンスター)」だ。(もう今では、後継のシューズも出ているようですが)
(その時Cloud Serferが欲しかったけれど、売り切れでした。それでも今は後続のモデルが出ているようで)
今回は、初心者の私がこの「モンスター」を選んだ理由と、実際に履いて感じたことをレビューしていきます。

なぜ、ナイキでもアディダスでもなく「On」なのか
ランニングシューズといえば、有名なスポーツブランドがたくさんある。 だが、私がこの「Cloudmonster」を選んだのには、明確な理由がある。
- 「モンスター級のクッション」という謳い文句 私のような中年初心者にとって、最優先すべきは「速さ」ではない。「膝への衝撃をいかに消すか」だ。このシューズは、On史上最大のクッションを持っているらしい。
- 見た目がとにかくカッコいい 「いかにも運動靴」というデザインではない。街中で履いていても違和感のない、スタイリッシュなデザイン。「形から入る」私にとって、これはモチベーションに関わる重要な要素だ。
価格は約2万円。 正直、これから続くかどうかもわからない趣味に出す金額としては安くない。 一度膝を壊してしまい、整形外科に行ったことがありまして、変形性膝関節症と診断されました。
ひざにヒアルロン酸を入れる、とか今の実力だと走りすぎだからちゃんと管理してね(筋トレとか、距離とか)とのお言葉をお医者さんからいただき、一度壊すと時間とお金がかかるものだなと思いました。
何より、2,3日5-10km走ると、膝と腰が痛くなり一週間程度休んでしまうことが苦痛だったので、どうしても解消したかった。
いざ開封。穴の空いたソールに驚く
届いた箱を開けてまず驚いたのは、やはりその特徴的なソール(靴底)だ。 「CloudTec」と呼ばれるボコボコとした突起が並び、横から見ると空洞(穴)が空いている。
「これ、体重で潰れないのか?」と心配になるほどだが、触ってみると意外としっかりしている。 そして、靴底全体が船底のように反り上がっている(ロッカー構造というらしい)。
足を入れてみると、視界が少し高くなった。 フカフカする。
最初は少し不安定に感じるかもしれないが、走っているうちに慣れてきて、沈み込みすぎてグラグラする感じはない。 「分厚いマットの上に立っている」ようなむしろ心地よい安心感がある。
実際に走ってみた:膝の痛みが「消えた」
恐る恐る、近所の道を走ってみた。 最初の数百メートルで、スニーカーとの違いをはっきりと感じた。
「着地の衝撃が、柔らかい。」
大げさではなく、アスファルトの上を走っているはずなのに、土の上を走っているような感覚だ。 足を着いた瞬間、あの穴の空いたソールが「グニッ」と変形して、着地の衝撃を柔らかく受け止めてくれる。
上級者のレビューを見ると「反発力があってポンポン前に進む」と書いてあったりするが、正直、私のような初心者ペース(キロ7分〜8分)では、そこまでの「反発」はよくわからない。 勝手に足が前に出る、という魔法のような感覚まではなかった。
ただ、一つだけ確実なのは、「膝への優しさが段違い」ということだ。 3km、5kmと距離を伸ばしても、あの嫌な膝の痛みが来ない。 「今日はまだ走れそうだ」と思わせてくれる。これこそが、私が求めていた機能だった。
それから1年後ぐらいに姿勢やフォーム矯正のためにベアフットシューズを導入しました。あとで気がついたことだが、その際にOnのシューズが、私が体幹ができていなかったので、グラグラした走り、姿勢の悪い走りをしていたのだと思うけれど、着地の際の衝撃吸収と姿勢の悪さを補正してくれていた結果、膝に衝撃が(無くはならないけれど)少なくなっていたのだと理解した。
気になった点(デメリット)
良いことばかりではないので、気になった点も正直に書いておく。
1. ソールの掃除が大変 これが最大の弱点かもしれない。 特徴的なソールの「穴」や「溝」に、小石がよく挟まるのだ。 舗装された道路を走る分には問題ないが、砂利道を走ると高確率で小石を拾ってくる。 帰宅後、玄関で靴底を見て、挟まった石を取り除く作業が発生することがある。
2. 価格が高い 約2万円という価格は、やはり初心者には勇気がいる。 「もし走らなくなったら、ただの高い置物になってしまう……」というプレッシャーはあった。(けれど結局ランニングシューズを導入してから病院にお世話になることがなくなったので、いい買い物だったなと思います)
買ってよかった点(メリット):寿命後も使える
ただ、この価格に関しては、一つ「逃げ道」があることに気づいた。 それが、「普段履きにできる」という点だ。
ランニングシューズには寿命がある(一般的に走行距離500km〜800km程度と言われている)。 クッションがへたってくると、衝撃吸収力が落ちてくる。結局1000kmぐらい履いたが、最初のグニュッとした感覚は無くなってきた。
しかし、Onのシューズはデザインが優秀だ。 もしランニングで使い倒してクッションが弱くなっても、あるいは万が一ランニングに飽きてしまっても、そのまま「普段使いのスニーカー」として第二の人生を歩ませることができる。
実際、私は今この靴を履いて買い物に行ったりもしているが、黒スキニーやデニムに合わせても違和感がない。 「いざとなったら普段履きにすればいい」と思えば、2万円という出費も決して無駄にはならないはずだ。
まとめ:40代の膝を守るための「必要経費」
On Cloudmonsterは、決して安い買い物ではなかった。 だが、この靴のおかげで、私は「膝の痛み」という最大の挫折ポイントを回避することができた。
初心者のうちは、筋肉も関節も走ることに慣れていない。 だからこそ、自分の身体能力を過信せず、道具に頼るべきなのだ。
もしあなたが、下駄箱にある古いスニーカーで走ろうとしているなら、悪いことは言わない。 まずは靴屋さんに行って、クッションの良いシューズを試着してみてほしい。 世界が変わるはずだ。
cloudmonsterはもう廃盤になってしまって、次のモデルも出ています。私、たいち、は次に狙っているのがこちら